以前、新聞の記事で、「心が折れる」という表現を使う割合がでていて、

20代で8割近くの人が使うと、ちなみに70代では、2割に満たないとのこと。

私も、普段、この表現は、ほとんど使ったことがありません。

また、「目が点になる」を使う人は、50代が最も多いらしく、

確かに、この言葉は、私も驚いた時によく使っていますね。

 

今から3年半くらい前の2014年3月、

シドニーオリンピック 銅メダリスト、田中雅美さんの講演会へ行ってきました。

 

「オリンピックで学んだ、折れない心の作り方」

このタイトルを目にした時、ぜひ、ご本人のお話を聴いてみたいと思い。

17歳で初めてオリンピック出場、その後、三度もオリンピックを経験されています。

水泳の五輪代表選手になるためには、たった一度の選考会で二位までに入り、

さらに、標準記録を切らないといけないそうです。

 

そして、本番の大舞台というのは、

出場した人でないと到底わからないことですが、オリンピックとは、他の大会とは全く違う、

そして、“魔物”は本当に存在すると話されていらっしゃいました。

 

実際出場されたオリンピック会場でのお話では、

2万人から3万人の大歓声の中、スタート台に立つとつま先がフワフワした感覚になり、

歓声の強さで、自分の体ではないような感覚と緊張感があるとのことです。

泳ぐ前に皆さんがよく体をバチバチ叩いている理由がわかるような気がしました。

水泳の場合、日本人は体型的にも海外の選手に比べたら小柄で有利ではないですが、

テクニックを重視し、持久力、練習力を高めることで世界で堂々と戦うことができると。

二度目のオリンピックに向け、順調にタイムもあっがていき、最高のタイムがでると、

日々報道、マスコミ関係が取材の中、世間のメダル期待が高まっていき、

「自分がメダルをとれなかったらどうしよう、、、」と次第に不安になっていき、

それがピークで、だんだん体が動かなくなっていったそうです。

そんな中で迎えた、2000年のシドニー五輪では、リレーで銅メダルを獲得。

個人では、メダルは取れなかったのですが、チームメイトからの

「一人ではとれなかったけど、四人ならとれるから、思い切って泳ごう」

という言葉に励まされて、見事メダルを手にされました。

その時の試合の映像が講演会場に流れると、感動で涙が溢れてしまいました。

日本チームは、リレーの場合、ひきつぎの練習を他の国と比べてかなり練習するそうです。

前の選手がタッチして、次の人が飛び込む間の速さも勝負のようで。

実際決勝の時は、このひきつぎのタイム合計は日本が一番速かったそうです。

毎日15〜20Kmを練習で泳ぎ、ゴーグルの中が水ではなく涙でいっぱいになることもと。

 

一体何がきついのか?

それは、モチベーションを保ち持ち続けることが大変であるといいます。

そして、最後の2004年、アテネオリンピックでは、200m平泳ぎ4位。

3位との差はわずか0.05秒・・・この時間は、わずか指の第一関節くらいの長さであると。

その差で、メダルのあるなしが決まってしまう現実の厳しさを感じました。

3位までに入らなければ、4位も5位も6位も予選落ちと変わらないと・・・

 

でも、雅美さんはおしゃっていました、

「自分の水泳人生は満足できたので、悔しいけど後悔はない」とハッキリ。

自分の目標は自分で決め、自分に負けないよう続けて、スタートラインに立つまであきらめない。

三回のオリンピックで、夢はかなわなく、個人ではメダルはとれなかったが、

挑戦してきて良かった、幸せだったと強くおっしゃっていました。

 

折れない心とは、

人は一人では、乗り越えられない。

周りの人との関係を大切にすることで、乗り越え助けあうことができる。

自分に対して負けない。

人と比べるのでなく、どれだけ自分が挑戦できるかが大切と。

 

会場内で、大切な銅メダルを皆にまわして下さり、

生まれて初めてオリンピックのメダルを間近に見て触ることができました。

実際に首にもかけさせて頂いた感想は、

皆、このメダルをとるために想像できないほどの努力をしている、重圧感のようなものを感じました。

 

人生生きていれば、色々なことがあります。

今までにも、いくつかの選択の場面があり、自分自身で選び、今に至っています。

それが良かったのか悪かったのかと考えてみたところで、もう過去には戻れません。

自分で選んだ道を信じ、生かされている今を大切に一生懸命に生きていこうと強く心に思います。

子供たちにも、「折れない心」を持って、これから生きていって欲しいと。

泳ぐのが大好きで、小学生の時、スイミングスクールに通っていた私。

また、久しぶりにプールで泳ぎたくなりました。

間近で拝見した、雅美さんは、とても凛として、とてもお綺麗な方でした。

しっかりとした信念をもって生きている方は、輝き放ち、本当に美しいと思いました。

このような貴重な講演会に参加できたこと、本当に嬉しく思います。

 

因みに、子供たちに聞いたところ、目が点は、普段全く使わないと。

やはり、世代の差なのですかね、、、

今の言葉でいえば、日々心が折れそう?になることも多々ありますが、

健康ならどうにかなると、楽観的に考えるようにしています!